ガチョウの世界は「無産卵高齢化社会」

今日の天気 晴れ


『ネエ、ネエ。ガチョウさん。上の写真を見て思い出してもらいたいんだけど、3枚とも今から5年前の平成19年5月の時の写真です。思い出しましたか。凄い卵の数ですよね。「ご産卵」の時、ガチョウ仲間が沢山よってきてお祝いをしてくれました。どうですか、思い出しましたか。卵の数が多くて数えるのに苦労しました。僕は手の指を一つ、二つと折って数えていきましたが、手の指だけでは数えきれないので足の指まで使って数えてみましたがとうとう正確な数を知ることは出来ませんでした。
産卵した卵のすべてを抱卵するには無理がありましたね。卵の数は多いし、卵そのものが大きいので、卵の上に親鳥がただ乗っかっている状態でした。卵が壊れないかとハラハラしたものです。時々、産卵の原因を作った配偶者も抱卵を手伝ってくれましたが、それでもすべてを抱卵することは無理だったようで、アチコチに卵が放置されているのが見えました。(写真下段左)
ネエ、ネエ、ガチョウさん。もしかしたら、太陽の熱で孵化させようと考えたのではありませんか。この年も沢山産卵しましたけど、一羽も孵化しませんでしたね。原因はなんだと思います。僕はガチョウさんに言いましたよね。「今までの状況を改善するため少子化対策専任係長を選び、係長の任務として産卵から育児までの基本計画をつくり、それを全員に徹底し推進させること。また、天敵である[カラスから卵を守る対策]も考えるように」と。さらに少子化対策の推進を盛り上げるため一羽一羽から「今後のガチョウ界を活性化させるためには」というレポートを提出させるようにと』。
(ここだけの話ですが、僕が勤めていた時、上司からよくレポートの提出を求められました。これがとっても嫌でした。今でも上司が夢にでてきて「まだかよ」と催促します。この悪夢にうなされて寝不足になります)


その時から5年経ちました。でも、いままで一羽も孵化しませんでした。どうしてでしょうかねぇ。僕が提言した「少子化対策専任係長の専任」・「各羽からのレポートの提出」を実行したのでしょうか。今年も昨年と同じ場所に「愛の巣」を作りました(写真上段左)。配偶者と思われるガチョウが心配そうに見つめていました(写真上段中)。でも、巣の中には卵は見当たりませんでした(写真上段右(赤丸中))。恐れたことが起きたのです。ガチョウ界は人間の世界に先立ち、とうとう「無産卵高齢化」の社会になってしまったのです。そして、「愛の巣」を放棄し誰もいなくなりました(写真下段)。

ガチョウの世界はどうなっていくのでしょうか。