働き蜂との会話

今日の天気 晴れ



今日は朝から晴れています。だんだん暖かくなってきました。
春が近づいています。公園の菜の花は見ごろとなりました。公園の「上池」周辺には菜の花が植えてあります。菜の花に近づきますと「ブーン、ブーン」と蜜蜂の羽音が聞こえてきます。今日も暖かな日差しの下で蜜蜂たちは元気に働いています。


「ヤァ、今日もお忙しいようですね」


「見ればおわかりになるでしょう。毎日、忙しくてアナタのような暇人とは付き合っていられないんですが、今日はなんの用事ですか」


「そうなんです。僕は毎日が日曜日なので暇で忙しいのです。毎日家でブラブラしていて、近頃、家内は僕を相手にしてくれません。ですから毎日どうやって時間を潰すか悩んでいるのです」


「ぜいたくな悩みですこと。それにアナタのように太っている人間は別として痩せ気味な人間ですと100歳以上も生きられんですから本当にうらやましいわ。私たち働き蜂はせいぜい1ヵ月で、死ぬまで働き通しです。有給休暇なんてありませんし、なんですか人間社会にはお仕事を途中でやめる定年なんて制度があるようで、そのうえある年齢になると年金までもらえると聞いていますが」


「実は僕はそのうちの一人で年金を頂戴してほそぼそと生活をしています。本当は働き蜂さんのように死ぬまで働きたかったのですが」


「よく言いますわね。今は死ぬほど暇だからそんなことをおっしゃっているんでしょうけど、今から働きますかと言われたら働きますか」


「働きません。今はどっぷりと怠惰な生活浸っていて、すっかりグータラな人間になってしまいました」


「そうでしょうね。あなたのその風貌からしてそんな感じがしますわ。不精ひげは生えているし、頭髪はバサバサ。どこのオジサンが来たかと思いました」


「家内から不精ひげを生やしていると「貧乏くさい」っていつも言われます。だから僕も負けずに言います。「我が家はいつも貧乏だも」って。そう言いますと二三日、口も聞いてくれません」


「奥様がうらやましいわ。蜜蜂の社会は蜜を運んでくる「働き蜂」は全員が女性なんです。男性は時々外出して結婚相手を探すだけ。本当に男性は定年を迎えた人間と同じでグータラなんです。でも、結婚相手を探している男性がうようよいますので、結婚相手が見つかった時はその結婚相手を求めて男性同士が死に物狂いで戦います。競争で勝った男性蜂が結婚相手、つまり女王蜂と交尾をするのです。そしてその直後にショック死をしてしまい生涯をおえるのです。男性の一生ははかないものですね」


「今日は大変良いお話をおうかがいしました。蜜蜂の社会は人間社会より役割分担がはっきりしているのですね。蜜蜂の男性の話は内緒にして、女性が働き蜂であることを家内に教えてあげようとおもいます。それでは御機嫌よう、また、お邪魔します」


「もう来ないでください。私たちの寿命は1ヵ月ですから無駄な時間を過ごしたくないのです。今度、来ましたら飛んで行ってしまいますから」。


これで終わりです。