「カルガモ物語」(第一回目)

カルガモ

今日の天気 曇り時々雨。

袖ケ浦公園にいるカルガモを主にしました「カルガモ物語」を作文しました。
この作文は毎日公園をウォーキングをしている時に考えたものです。カルガモだったらこんなことを考えるんじゃないかと自分勝手に思い、作文しました。
今まで、アヒル、ガチョウ、ネコなどの動物なども書きましたが、今回はどうでしょうか。
3回に亘りますが、最後までお読みいただいても何の賞品もでません。


[第1回目]
僕は袖ケ浦公園でお世話になっているカルガモです。
僕は昨年生まれました。歳は一歳です。
昨年の秋、海を一つ越えてここの公園にやってきました。
本当は自分が生まれた故郷で一生を過ごそうとおもったのですが、冬は寒くて凍死した仲間がいるということを聞いて、冬の間、暖かい南のほうで過ごすことにして、仲間10羽と故郷を飛び立ちました。
長い旅に出たのは初めてですので、自分がどれだけの距離を飛べるか不安でしたが
途中、仲間と助け合いながら、休み、休み飛行をつづけました。
上空から見る景色は素晴らしいものでした。鳥に生まれて良かったと実感したのはこの時です。すでに高い山には雪が積もっているところもありました。
海が見えてきました。海には長い橋がかかっています。このまま飛んでいくと又広い、広い海です。お腹も空いてきて体力もそろそろ限界に近く、これから海を渡るのは大変だなぁと思いました。そこで海を渡る前にチョッと休んで腹ごしらえをしていこうと仲間と降り立ったのがこの公園です。上空から見た時、大きな池と中くらいの池とそれから小さい池が三つありました。大きな池には僕たちと同じ鳥の姿がみえましたので、大きな池に飛び降りました。この池の名前は「上池」というんだそうです。


「上池」にはすでに沢山の鳥たちがいました。やはり冬の寒い季節になると暖かい場所を求めて何百キロ、何千キロメートルと飛行してきた渡り鳥の仲間です。
オナガガモコガモマガモなどがいます。一番多いのは僕たちのカルガモです。
カルガモはすぐ分ります。嘴が黒く、その先が黄色で、脚は橙色だからです。次に多いのがオナガガモで、この鳥は僕たちカルガモのずんぐりむっくりの体型と違ってすらっとしていて格好がよいのであこがれたことがあります。
カルガモの中に故郷でいつも仲良く遊んでくれたお兄さん鳥がいたような気がしたのですが、皆、同じような体型なので見失いました。


昼間の食事は、狩猟にあう危険性がありますので夜まで我慢することにしたのですが、おやつ程度に水草を食べて飢えをしのぎました。
夜に本格的な食事をしました。近くの水田や湿地に行って食事をするのです。水田や湿地は沢山あります。仲間は首を水に入れて水草を食べ、逆立ちになって上半身を水の中にいれて水底の植物を食べていましたが、僕は怖くて出来ません。
僕は水面に浮いている草の葉や種などを食べました。
食べ物は豊富です。僕はすっかりこの「上池」が気に入りました。
昼間は水面に浮いてのんびり過ごせるのがとても気に入りました。時々、岸辺の岩に登って暖かい陽射しをうけて、今日の夜食は何にしようかと考えるのが一番幸せなときです。
ただ、風が強い日は岸辺の岩にとまることは危険だと思いました。僕の細い足では岩にしっかりつかまっていることは出来ないため、風に吹き飛ばされて怪我をすることも考えられます。風がある時は水面に漂っているほうが安全です。
二日ほどこの池で羽を休めましたので体力が回復しました。そこで違う場所に移動するかどうかを仲間と協議しました。全員がこの「上池」が気に入っているようで、この冬はここで過ごしてみようということになり意見が一致しました。


他の鳥たちと仲良くするためには、それぞれの鳥たちの領域を侵さないことです。
今まで見たことがない鳥とお話をしようかと近づいたことがありますが、すぐ追い返されました。その鳥の機嫌が悪かったのかと思い、違う鳥に話かけましたがやはり追い返されました。同じ空を飛べる鳥だからと言ってもどこか違うことを初めて知りました。

僕たちカルガモの仲間の「アヒルさん」に声をかけたことがありました。
このアヒルさんは二羽で暮らしており夫婦のようです。とても親切にお話をしてくれました。お話を聞くと昔からこの池にいそうです。ですから、この池の歴史を全て知っています。
ただ、僕たちと違って空を飛ぶことが出来ません。毎日の食事が思うように出来ないとこぼしていました。公園の管理人さんという人間が思い出したように「鳥の餌」というものを持ってくることもあるようですが、ここ何ヶ月も持ってきたことがありません。
今は公園の管理人さんという人間以外の人間から食べ物を貰ってその日を過ごしているようで可哀想だと思いました。


ヒルさんと時々見間違うのですが、ガチョウさんもいます。
このガチョウさんは、アヒルさんより少し大きめです。良く見ますとアヒルさんとは違って嘴が頭のほうからつながっています。嘴の色はアヒルさんは黄色ですが、ガチョウさんは橙色です。鳴き声はドラム缶を引きずっているような声で、その鳴き声は公園の隅々まで聞こえてきます。近くに住む人間から「ウルサイ」と何度も叱られているようですが、ガチョウさんは人間から声をかけられるのがうれしいらしく、更に鳴き声をあげて人間に近づいていきます。早く人間の言葉をガチョウ語に翻訳できる機械を作ればよいのにと思っています。


このガチョウさんには鳴き声が怖くて近寄ったことはありません。いつも遠くから見ているだけです。
ガチョウさんは11羽います。アヒルさんのお話によれば「ガチョウ友の会」という組合を作り、結束は固いようです。いつも11羽連れ立って行動しています。
鳴き声をあげるときも一緒で、1羽でもうるさいのに11羽で鳴いたときは近くに住む人間が「炊飯器の中の飯粒がいちどきにひとかたまりになって宙に浮くほど」びっくりし、茶碗と箸を持ったまま、何事が起きたのかと外に飛び出してきたこともあったとアヒルさんから聞きました。
人間にとって大変迷惑な話です。