アヒルとの対話

「鵜」

今日の天気 晴れ。


晴天。雲一つない空ですが、空気が冷たいうえに風が強く本当に寒い一日でした。


公園の渡り鳥は池の真ん中に集まって波間に漂っています。
こんな風の強い日は岸の岩に止まって昼寝をしているより、波間でユラユラしている方が安全なのでしょう。あの細い足で岩につかまっているより、水の上の方がよっぽど楽です。
それにしても足が冷たくないのでしょうか。


ヒル二羽が陽の当たる場所で寄り添って大好きな居眠りをしているところです。
近くには意地悪なガチョウたちの姿は見えません。安心して寝ることが出来ます。


「こんにちは」


ヒル「アッ、いつもお世話様です。いつも大好きな食パンを持ってきてありがとうございます。いつかお礼をしなくてはいけないとは思っているのですが、何も出来なくて申し訳ないです」


「そんなに気を使うことはありませんよ。時々、アヒルさんたちにと思ってパンを持ってくるのですが、いつもガチョウたちに取られてお腹一杯食べることはできませんね。今日のようにガチョウたちがいない時にもってくれば良かったのですが」


ヒル「アア、あのガチョウたちですね。今日は風が強いので向こう岸の大きな木の下で休んでいますよ。本当に意地悪なガチョウ連中です。あのガチョウたちは自分より体が大きいからと言って威張っているのです。あのガチョウたちは昔違う池にいたのですが、そこにいた鳥たちにも意地悪をして皆から嫌われてとうとう追い出されたのです。そして来たのが此の池なんです。いい迷惑ですよ。この池から追い出そうと考えているのですが、渡り鳥のほかに私達アヒルしかいないのでどうしようもありません。春になると渡り鳥がいなくなりますので、渡り鳥は無関心なのです」


「そうですか。鳥の世界にも色々と悩みがあるのですね。人間の世界と同じですよ。アイツの顔を見るのもイヤだと思ってもどうすることも出来ません。我慢しかありません。ケンカすることもありますけど、ケンカしたらもうおしまいですね。元には戻りません」


ヒル「人間界は実に複雑なんですね。鳥の世界は強いか弱いかです。強いものにはかないません。でも、弱いものでも沢山集まれば強くなることも出来ます」


「人間の世界でもそんなことはありますが。だんだん寒くなってきましたので、これで失礼します。それにしても羽毛を着ているので羨ましいですね。寒くないでしょう。こんど又、パンを持ってきます」


と、自分勝手に好き勝手なことを考えながら歩きました。
鼻水をすすりながら。