ガチョウたちの事情

「ガチョウ友の会」のメンバー

今日の天気 雨のち曇り。


午後、雨が上がりましたので公園を歩いて来ました。
今日も2周です。約4kmで時間にしますと40分。こんなんで減量するわけはないのですが、気持ちがすっきりします。


いつも公園の「上池」を右回り*1をします。その出発地点にガチョウ、アヒルマガモなどがいるのですが、近頃、ガチョウがいないのです。
このガチョウは「ガチョウ友の会」という会を結成してそのメンバー11羽*2の結束は非常に固く、他の鳥たちを寄せ付けないところがあります。


上池の周辺を見渡すと、いました、いました。大きな木の下にいました。
たまにはガチョウとコミュニケーションを図る必要があると思いまして、わざわざその大木の下まで出かけました。


「あれ、こんな所にいたんですか。いつものところにいないもんで心配しましたよ」


ガチョウ友の会会長(以降会長と表示)「今度、こっちに引越してきたんですよ。転居通知を出さなくてスミマセン。転居通知をここの上池を管轄する何とか支部という長ったらしい名前*3のところに依頼しましたら心良く受付てくれたんですが、この郵便を配達する「カルガモ便」*4カルガモたちが一斉に反対したんですよ。いつもカルガモに意地悪しているからそのしっぺい返しですかね」
配達されなかった「転居のお知らせ」には
 旧住所 「上池」右回りの入り口付近
 新住所 「上池」右回りの出口付近の大木の下 
公園を散歩した折、是非お立ち寄り下さい。
と書かれていました。丁度反対側に移ったことになります。


「どうしてここに引越してきたんですか」


会長「ホントはここには引越ししたくなかったんですよ。前のところは公園の管理人さんが餌を持ってきてくれ、それに「人間さん」も餌を与えてくれる実に良い場所でした。ですが、我々の鳴き声がうるさいと近くの住民から公園の管理組合あてに投書が行ったのです。投書した住民は分っています。近くには民家は一軒しかありませんからね」


「ホントに鳴き声はうるさいですよね。まるでドラム缶を引きずりまわしているような鳴き声です。人間の子供がびっくりして泣き出す始末ですからね。
たまには、ウグイスのような鳴き声を出してみたらどうですか。それが出来なかったら「ネコ」が近くにいるのですから、ネコから「猫なで声」の出し方を教えてもらったらどうです?。それとあわせてネコがいつも人間の機嫌をとる仕種で、スリスリと体を寄せ付ける方法も。人間は喜びますよ」


会長「それはチョッと無理ですが、この住民の投書方法について我慢が出来ないのですよ。何故、直接、我々ガチョウ友の会に言ってこなかったのか。管理組合に投書があった日、園内放送がありました。この園内放送は公園にいる動物たち全てが聞いているのです。この放送で恥をかき、ガチョウの権威は失墜しました」


(放送内容)ポポポーン(チャイムの音)「オスラセします。上池にいるガチョウたちにモウス上げます。いま、近所のシトから鳴き声がウルサイと投書がありマスた。スズかにしてください」ポポポーン(チャイムの音)


会長「この放送は我々のことを言っているんだとすぐ分りました。他の鳥たちも冷たい目で見ているのです。日頃の鬱憤を晴らしたといわんばかりに笑っている鳥たちもいるのです。鳥の笑っている顔を見たことがありますか。人間さんには分らないでしょうね。
それに近所のシトもすぐ分りましたよ。家は一軒しかありませんからね。そこで「ガチョウ友の会」全員を集め、その家に向かって一斉に抗議の鳴き声をあげたのです。そうしますと又、園内放送がありました」


(放送内容)ポポポーン(チャイムの音)「オスラセします。上池にいるガチョウたちに再度モウス上げます。近所のシトから電話がありました。今すぐ鳴き止まないと羽をひん剥き布団にして、肝臓はフォアグラとして売り払ッちゃうぞとモウスております。今すぐ鳴き声は止めてください。さもなくばどっかに引越スてください」ポポポーン(チャイムの音)


会長「園内放送を聞いてすぐ鳴くのをやめました。布団になったら適わないですからね。放送にあった「さもなくば」という言葉の意味が分りませんでしたので「人間語・ガチョウ語」辞典で調べました。「そうでなければ」という意味なんですね。この意味が分ったので「ガチョウ友の会」の総会を開いて、布団・フォアグラになるか、「そうでなければ」それがイヤだったら引っ越をするかを協議しました。全員一致で引っ越すことに決まったのです」


「そうだったんですか。実に長い説明でしたね」


会長「一番喜んだのは、マガモ、アヒルカルガモたちですよ。意地悪するのがいなくなったってね。餌もゆっくり食べることができるって。今まで決して意地悪をしていたわけじゃないんだけどね。ガチョウたちの仲間意識が強いのでそれを嫉妬しているんじゃないかと思っていますけど」


「人間の世界も同じようなものです。でも、ここは静かで良いですね。大きな声で鳴いても誰に迷惑がかかるわけじゃないですから。思いっきり鳴いて下さい。時々、お邪魔をさせてください」


と、言ってガチョウたちと別れました。ガチョウたちはすぐ眠りに入ったようです。

*1:時計回り

*2:ときたま12羽になることもあります

*3:日本国竜宮城千葉県袖ケ浦公園上池支部

*4:渡り鳥のカルガモに委託する郵便