袖ケ浦公園 カルガモ受難

年金で細々と暮らしているオジイサンとオバアサンが公園を歩いていました。
貧乏でも「子供の世話には絶対ならないぞ」いう強い信念を持っているオジイサンとオバアサンは、足腰を鍛えるため公園を歩いているのです。

ふたりが公園にある下池という池に近づいてきたとき、近くからひな鳥の鳴き声が聞こえて来ました。オジイサンは鳴き声のするところに行きました。
耳が遠くなっているオバアサンには、その鳴き声が聞こえず、通り過ぎようとしました。
カルガモの二羽のひな鳥が金網にさえぎられ、親鳥のそばに行かれなくなって鳴いていることがわかりました。

 (金網にさえぎられ、親鳥を探して鳴いている二羽のヒナ)

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心の優しいオジイサンは、すぐ公園を管理するオジイサンより少し若いオジサンに事の次第を言って、ひな鳥を助けてくださいと涙ながらにお願いしました。
本当はオジイサンが金網を持ち上げてひな鳥を助けることができたのですが、ぎっくり腰になったらオバアサンと子供たちに迷惑をかけると思い、オジサンに助けを求めたのです。

 親鳥とひな鳥兄弟の2羽がこの状況を遠くから心配そうに見ていました。

(心配そうに見つめる親鳥と2羽の兄弟)

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オジイサンより少し若いオジサンが金網を持ち上げましたら、ひな鳥二羽は一目さんに親鳥の元に泳いでいきました。これで兄弟4羽、全員そろいました。親鳥はこれで安心したようです。

(必死になって親鳥の元に泳いでいきます)

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(親子全員がそろったカルガモ家族5羽)

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オジイサンとオバアサンは手を取り合って喜びました。
メデタシ、メデタシ。

翌日、オジイサンとオバアサンは足腰を鍛えるための散歩を終え、下池に寄りました。
そこには親鳥だけで、ひな鳥4羽がいないのです。
親鳥はガー。ガーと鳴いています。その鳴き声はひな鳥を呼んでいるように聞こえました。

(ひな鳥兄弟4羽を探して鳴いている親鳥)

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オジイサンとオバアサンは、ひな鳥を探しましたが見つかりませんでした。

オジイサンは「多分、カラスにやられた」のではないかと思いました。
カラスを悪者にしてはいけないとオジイサンの心が痛みましたが、かつてカラスがガチョウの卵を咥え飛び去っていくの目撃したことがあり、そんなことからカラスを悪者にしたのです。

オバアサンより心優しいオジイサンの目にはうっすらと涙がにじんでいました。
「憎っくき、カラスめ」。オジイサンは誰もいないところで叫びました。