ヒヨコのお話

ある公園にニワトリが住んでいました。

昨年の春、心無い人間がこの公園に4羽のニワトリを捨てていきました。メス1羽、オス3羽です。この4羽はとても仲良しでした。いつしかオスとメスの間に恋が芽生え、今年の春、めでたく雛がかえりました。かわいいヒヨコは2羽です。ヒヨコはいつもお母さんから離れませんでした。お父さんを含め、他のオスもヒヨコをやさしく見守っていました。

[4羽・メス鳥1・オス鳥3(この中の一羽が父親です)]


[両親と散歩]


[お母さんと散歩]



[大人の仲間と散歩]



ニワトリが住んでいる近くにネコがいますが、ヒヨコには関心がありませんでした。公園にいるネコたちは人間がもって来る餌を食べ、いつもお腹が満腹の状態であったため、ヒヨコを襲って食べてしまうことはありませんでした。ネコがネズミを食べるというのはもう伝説となってしまいました。


[いつも満腹なネコ・住み処は草むらです]

ニワトリの住み処は「つつじ」の下です。このニワトリにも人間が餌を運んできました。水飲み場もこしらえてあります。「動物を捨てないでください。餌を与えないでください」というポスターがあちこちにあったのですが、捨てられたニワトリが可哀想で餌をもって来るのです。ヒヨコの人気は高まりました。親子で散歩している姿がかわいいのです。でも、心配がありました。公園にはカラスが多くいます。カラスにヒヨコが襲われないかという心配です。早くヒヨコが大きくなれとみんなが思いました。カラスが襲ってきたらすぐに「つつじ」の木の下に潜り込むんだよと親鳥とヒヨコに話かけました。
ヒヨコが生まれて1週間後、ニワトリの住み処の近くに親鳥の羽が散乱していました。もしかしたら、ヒヨコがカラスに襲われたのではないかとヒヨコを探したのですが、見つかりませんでした。つつじの木の下で親子が寝ているのかも知れないと思い、そっと下を見たのですが見つかりませんでした。翌日も同じ場所でヒヨコを探したのですが、やはり見つかりませんでした。


「ヒヨコはカラスに襲われたらしいですよ」と傍を通った人が言いました。親鳥がヒヨコを助けるため、必死にカラスに向かって抵抗したのですがヒヨコを助けることができませんでした。これを見た人はいませんでしたが、親鳥の羽が散乱している状況から誰もが親鳥がヒヨコを助けるためカラスに襲いかかっていった姿を想像しました。


数日が経ちました。4羽のニワトリが餌をついばんでいました。