知恵比べ

今日の天気  晴れ


昨日は節分。「福はうち、福はうち」と二度言いました。豆は数粒撒きました。あまりたくさん撒きますと掃除が大変です。今年は「鬼は外」は言いませんでした。だってこの冬の寒さの中に裸の鬼を外にだしては可哀想だもの。「暖かくなる迄家にいても良いよ」と言っておきました。そして今まで家で悪さをしたことを反省し、二度と悪いことをしないようにと厳命しました。


赤鬼と青鬼は涙を流しながら「ありがとうございます。今後、家では二度と悪いことをしません」と僕に誓いました。許されたことを良いことに更に調子に乗って「暖かくなっても行くところがないのでこの家にいさせて下さい」と懇願されたのですが、僕は「駄目だ」と断りました。長く居続けていると鬼と仲良くなりそうだし、そうなったら我が家の貧乏生活を断ち切ることができなくなるからです。鬼は断られた時、「赤鬼は青鬼に、青鬼は赤鬼になり、鬼のような形相」をしていました。「フクはウチ・フクはウチ」。


お話が変わって渡り鳥のお話です。
昨年の秋、ある公園の大きな池にたくさんの渡り鳥がやってきました。「カルガモ」・「オナガガモ」・「マガモ」・「オオバン」などおなじみの渡り鳥です。一冬をこの公園で過ごし、暖かくなる春にはまたどこかに行ってしまいます。


毎年、同じことが繰り返されていますが、この冬、「オナガガモ」に今までになかった行動が起こりました。それは既にこのブログに掲載してありますが、「自分は鳥であることに気がつき、飛べる」ことを思い出したのです。
(id:h-kawa0619:20120121[「オナガガモ」の事情])


このことにつきまして、まだお読みになっていない方にかいつまんでお話をしますと『人間がエサを水面に投げるとそのエサをめがけていろんな鳥が殺到し、運良くエサを食べられるのはホンの数羽です。引っ込み思案の鳥には永久にエサにありつけない状態です。引っ込み思案の鳥は考えに考えました。なんとかして他の鳥より早くエサにありつける方法がないかと。ある日、引っ込み思案の鳥が「自分は鳥で飛べる」ことを思い出したのです。
それからというものは、毎日、人間がエサを投げ与える瞬間、人間の手元をめがけて飛んで行き、エサを奪い取ることが出来るようになりました。それを他の鳥が見ていて、今では数羽が引っ込み思案の鳥と同じように人間の手元をめがけて飛んでいくようになりました。この状態がいつまで続くか心配です。なぜかって。全部の鳥が人間をめがけて飛んで行くようになったら、昔映画にあったヒチコックの「鳥」と同じようになるからです。思っただけでも怖いことです』要点をお話するつもりが全部お話をしてしまいました。

今日のお話は前回の「オナガガモ」の続きではなく「オオバン」という鳥です。オオバンという鳥の特徴は、体の殆どが黒で、くちばしから額にかけて白。そして首を前後に振って泳ぎます。 エサは水草、水性昆虫などです。この鳥も秋になりますとどこからかやってきます。どうもこの鳥は菜の花の若芽が大好きなようです。このブログにも時々でてきます。毎年、公園では秋になりますと菜の花の種子を植えます。この菜の花の芽が出始めた頃、オオバンが飛来してくるのです。そしてオオバンは徒党を組んで菜の花の若芽を食い散らしてしまうのです。折角汗水流して植えた菜の花は春にはほんの少ししか咲きません。このオオバンのグループ名を「ナノハナワルサーズ」と言います。グループのメンバーは10羽ほどです。

[オオバン]

[ナノハナワルサーズのメンバー]


今年も同じ場所に菜の花の若芽が出てきました。オオバンもどこからかやってきました。でも今年は公園の様相が少し変わっていました。
[網で囲んであるところが菜の花畑です]


公園を管理するオジサンたちは、今年はなんとかして菜の花を守ろうと「菜の花を守ろう対策会議」を開きました。「どうしたら菜の花をオオバンから守る事ができるか、オオバンを追い払う最良の方法がないか」というのが一番大きな議題でした。意見の中に「焼鳥屋」の暖簾を出したらどうかとか、CDのような光ものをぶら下げてみてはどうかとか、爆竹を鳴らしたらどうかとか、いろいろな意見がでて、なかなかまとまりませんでした。対策会議は延々と続きました。


対策会議の結論は、「池に沿って網を張ること」でした。オオバンは池から這い上がってくるのでその場所に網を張れば侵入を阻止出来るだろうと考えたのです。網はすぐに張られました。しばらくはこの方法に効果がありましたが、強風が何度も吹いたため網が歪み、アチコチに隙間ができてしまいました。その後、若芽が食いちぎられる被害がでているのが分かりました。そこで、また対策会議を行われました。そこで出た結論は「菜の花畑を網で囲ってしまう」ということでした。囲うと言っても四方を囲むのではなく池の方向の正面と右・左の三方だけ囲みました。上は網で覆うことはできませんので開いています。この方法で今のところ菜の花には被害は出ていないようです。

[菜の花畑の現在の状況]


今日のところ、これでお話は終わりです。


最初のお話は「オナガガモが鳥であること。そして飛べること」に気がついて、人間の手元迄飛んでいってエサをもらうようになりました。「オオバン」もいつか飛べることに気がつき、囲いの網を飛び越えて行くのではないかと思っています。
公園のオジサンたちも鳥には羽があって飛べるんだということに気がついた時は、葉の花畑が荒らされた時でしょう。人間と鳥との知恵比べが始まりました。

[本日(2/4)のナノハナワルサーズの行動、菜の花畑近くでエサを食べていました]

[芽を食べ尽くしてしまった別の場所の菜の花畑・風が吹くと土埃が舞い上がっています]