さて、今年は菜の花がきれいに咲きました。
毎年、「オオバン」という渡り鳥が菜の花の若芽をついばんで、ダメにしてしまいます。
このオオバンを一部の人間は、菜の花に悪さをするので「ナノハナワルサーズ」と呼んでいます。
[ご参考]id:h-kawa0619:20081126(知恵比べ)
そんなことで、公園を管理するオジサンたちとオバサンたちは「オオバン」を目の敵にするようになり「菜の花をオオバンから救うための対策」なる打ち合せ会を開きました。
その席上で「網を張ったらどうだべ」と貴重な意見がでて、その意見が採用されることになりました。
若芽が出たころ、網が張られました。


一方、オオバンです。
オオバンの世界では冬の季節、日本のあちこちに飛んで行きます。毎年、同じ場所に飛んでいくのではなく違う場所に飛んで行くのです。
そして、一冬過ごした場所のレポートを出すことになっています。
一昨年のレポートには「菜の花の若芽が実においしい公園」という表題で、食べた日にち、時間、食べた量、食べた期間、一緒に食べた鳥数など詳細に書かれていました。
最後に「危険度」という欄があり、これには「小」と書かれていました。
この危険度というのは、人間・猫・犬・昔から住んでいる鳥たちなどから「嫌がらせを受けたことがあるか、そして追いかけまわされ、身の危険を感じたことがあるかの度合い」を「大・中・小」であらわしたものです。
[注:「大」は死ぬかと思ったことが時々あった。・「中」は顔を見るのも厭なヤツがいる。・「小」は全くなかった。]
このレポートを見て、次のオオバンが喜び勇んで飛来してきたのは昨年の11月でした。
そのころ、公園を管理するオジサンたちとオバサンたちは、菜の花の種を植えている真っ最中でした。
若芽が出たころ、公園を管理するオジサンたちがセッセと網を張っているのを目撃しました。
オオバンたちはおおいに驚き、毎日、「菜の花の若芽を食べるにはどうすべきか」と検討したのですが、オオバンの数は20羽もいるので勝手な意見が続出し検討会は混乱しました。
その意見の取りまとめに時間がかかり過ぎたため菜の花はいつしか花が開き、とうとう若芽を食べそこなってしまいました。
現在、オオバンは北に帰る準備をしていますが、レポートの表題を「好物の菜の花の若芽が食べられない公園」にしようかどうかと混乱が続いている状態です。
また、「危険度」は、網を張った公園のオジサンたちの顔を見るのも厭だそうで「中」にすることが決まっています。


また、公園を管理するオジサンたちとオバサンたちに戻ります。
「今年は菜の花畑に網を張ったせいか、菜の花の被害がなくきれいに咲いたね。やっぱり人間は利口だ。網を菜の花畑の上に張っていなかったので、飛んでくるんじゃないかと思ったけど、鳥たちは飛ぶことを忘れてしまったのかねえ。ホントに鳥は馬鹿だね」。
その言葉をオオバンの一羽が聞いていました。
レポートの表題はまだ決まっていませんが、そのレポートには「菜の花畑の上空には網が張っていないので飛んでいくことができる」と書く予定です。


[このお話はフィクションであり、実在する公園のオジサン・オバサンとは全く関係がありません]