グリーン車に乗った理由

今日の天気 曇り


暖かい日が続いています。近頃の天気は晴れたり、曇ったり、そして雨と不安定な状態が続いています。
さて、我が日記も近頃の天気にように不安定で、書いたり、書かなかったりしています。
天気がよければ気分も晴れ晴れして、頭の隅に閉じこんである古い知識を引っ張りだしてでも何か書こうと思います。でも、天気が悪いと頭の回転が鈍くなり、頭のあちこちでギシギシという鈍い音がしてきて、終いにはその音もしなくなり寝てしまいます。


先日、電車で東京に出ました。
生憎と通勤・通学ラッシュの時間帯です。


[後ろから学生さんに押されてやっとこさ電車に乗り込んだのは良いけれど、車内はギューギュー詰めで蒸し暑い。でも、隣にはもっとも男性を魅了するやや太り気味の体型のご婦人がつり革につかまって乗っていました。ラッキーと心で叫んだのも束の間。電車がゴトンと動き出した瞬間、そのご婦人が「アレ〜ッ。痴漢、何をするんですか」と声を発し、僕を見つめるのです。蒸し暑さにイライラしていた乗客たちは、その声を聞いた途端、蒸し暑さを一瞬忘れ興味本位に僕の顔を見ます。「この白髪のオジサンがね」という声が聞こえてきます。


この痴漢騒ぎは、アッという間に15両の電車全ての乗客が知ることになりました。
と、言いますのは、たま、たま僕の近くにいた心無い乗客の一人が携帯電話で警察に連絡をしたのです。この痴漢騒ぎの起きる少し前に「携帯電話のご使用はご遠慮下さい」と車内放送があったばかりなのですが、乗客の一人は「遠慮しない」で携帯電話を使ったからです。
思うに、この痴漢騒ぎの情報は
「携帯電話を遠慮しないで使った乗客」→「近くの警察署」→「JRの痴漢対策室」→「××駅と○○○駅の線路上を走っている電車の車掌」に伝わりました。
で、連絡を受けた車掌はびっくり仰天してしまいました。なんとかしてこの痴漢騒ぎが起きている車両に行って騒ぎを鎮めたいと思ったのですが、なにしろ電車は混雑していてその車両に近づけない状態です。車掌は大変真面目な人です。


そこで考えたのが車内放送です。
「本日もJRをご利用下さいましてありがとうございます。昨日はポイント故障により1時間32分も電車が遅れてしまい、ご迷惑をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます」と昨日の遅れを「深くお詫び」し、続けて言いました。
「只今、13両目の真ん中辺りで痴漢騒ぎが発生しました。被害者はちょっと太り気味の女性で加害者は白髪のオジサンです」と放送しました。
「次の駅で警察の方がお迎えしますので下車してください」との放送もしました。


僕は「痴漢」と言われてびっくりしました。「何をするんですか」と言われても「何」を「何」するのか分りませんでした。
僕は新聞は時間をかけて隅から隅まで読んでいます。特に関心の深い社会面は時間をかけます。つい、二三日前に「痴漢騒ぎ」裁判所の判決がでて、その時の裁判長の話が出ていました。「電車の中ではご婦人に近づかないのがマナーです」と。
電車が込んでいますと、ご婦人に近づかないというわけにも行きません。
それで僕は電車に乗る時、両手を挙げて乗ろうと考えたのです。両手を挙げたところに後ろから学生さんに押し込まれ、やっとこさ電車に乗ったところで痴漢騒ぎです。電車に乗っても両手を挙げていましたので、無防備のほうは僕です。何をされても不思議でない状態でいるのです]。


やっぱり「グリーン車」は良いなぁと思いました。癖になりそうです。
東京駅の所要時間1時間10分。グリーン券は950円。ちょっとした贅沢です。
今までの痴漢騒ぎは、実はグリーン車に乗る理由付けです。
込んでいる電車に乗ると、もしかしたら「痴漢騒ぎ」になって、裁判まで発展するかもしれない。そうなりますと費用は莫大にかかります。グリーン車は950円。痴漢騒ぎは起きそうもありません。グリーン車のほうが安上がりです。
ってなことを考えたのです。