昨日、僕と家内そして家内の友人のご婦人三人で、東京に出ました。
アクアライン経由のバスで品川まで出て、それから電車に乗り換え新宿迄です。その所要時間は約1時間ほどです。
その間、家内とご婦人の会話は途切れることなく続きました。
僕は「よくまぁ、話題があるもんだと」感心しながら遠くからそれを見つめていました。


帰りも新宿から山手線の電車で品川まで出ました。その電車の中で出来事がおこったのです。
新宿で電車に乗った途端、二人の会話が始まりました。少し込んでいましたので、今度は二人の傍でこの二人と関係がないというような顔で立ってしました。
我々三人の前の座席には、若い娘さんが座っていました。
娘さんは我々の顔を見てすぐ立ち上がり、そして「どうぞ」と席を譲ってくれたのです。
娘さんが声をかけたのは、家内の友人のご婦人にです。
このご婦人、いつもは化粧っけのない人で、今日は東京に出るからといって若づくりのお化粧をしてきたのです。今朝、会ったときにいつもと違っていることにびっくりしたことを思い出しました。
ご婦人は皮肉たっぷりにそして娘さんに聞こえるように家内に言いました。「私より少しお歳を召されている奥様からどうぞ」。そして家内が僕に言いました。「一番年寄りのオトウサンが座ってください」。僕は二人と関係ないというような顔をしていたのに。
このやり取りの間、娘さんの顔は凍っていました。
そして、ご婦人の顔も硬直していました。山手線の車内に気まずい雰囲気が漂いました。


実は年齢から言いますと、このご婦人が一番若かったのです。


気まずい雰囲気を察したのか、娘さんが座っている隣の二人が立ち上がり、僕たち夫婦に席を譲ってくれました。
ご婦人が言いました。「よかったね。三人が座れて」。
僕は席を譲ってくれた二人に思わず合掌してしまいました。
これで無事解決です。家内とご婦人の会話がまた始まりました。山手線の車内はいつもの状態に戻り、家内とご婦人の仲も今朝来たときの同じ状態になりました。
僕は、二人とは関係ありませんというように「あさって」の方を向いていました。これも今朝来たときの同じ状態です。