どんぐり

今日の天気 晴れ


[どんぐりころころ]
♪どんぐりころころどんぶりこ 
お池にはまってさぁ大変 
 どじょうが出てきてこんにちは
     ぼっちゃん一緒にあそびましょう♪


道端で一人のご婦人が何かを拾っていました。
公園を一緒に歩いていた家内が、そのご婦人に話をかけました。
「何を拾っているのですか」。
「どんぐりですよ」という答えが返ってきました。
「これを炒って食べるとおいしいですよ。小さい頃、山に行ってたくさん拾ってよく食べたものですよ。今日、この公園を歩いていたら懐かしいどんぐりが目についたので、子供の頃を思い出しながら拾っています」。
「あれっ。どんぐりって食べられるのですか。子供の頃、どんぐりを食べたら吃りになると聞いたことがあるんですけど」と、僕は可愛かった子供の頃を思い出しながら言いました。
ご婦人は「どんぐりでも、これは椎の実です。椎の実は炒って食べることができます」と言って、その椎の実を見せてくれました。
ご婦人に「椎の実ってどんぐりですか」と、真面目な顔して質問しました。
僕はすっかりスポンジ状態になっている脳細胞に「どんぐり」と検索しました。
検索の結果は「どんぐりとは丸くふっくらしたもので、可愛い帽子を被ったものを言います」と出てきました。この世に命を受けてから60数年間に亘って培ってきた知識の結果です。
椎の実は僕が思っていたどんぐりとは違って、細長く小さいもので帽子はついていませんでした。


「椎の実は食べられる」と知り、家内と一緒に椎の実をウンザリするほど拾い集めました。
家に帰って早速家内は椎の実を炒り始めました。実の中までしっかり火が通るようにと言うことで時間をかけて炒りました。殻が割れ、中にはおいしそうな実が入っていました。
その年に初めて食べる時は「東を向いて笑う」と言うことを思い出し、60数年間生きてきて初めて食べる時はどうするんだろうと悩みました。
「ま、良いか」と言うわけで、面白くもなく、おかしくもなかったのですが家内と二人で「西を向いて大笑い」をして椎の実を口にしました。
脳細胞が少なくなっているうえに、歯まで少なくなっているこの頃です。
椎の実を噛む歯を舌で選んでその歯でかみました。ところが椎の実は硬くて噛みつぶせないのです。違う歯でもやってみたのですがダメでした。
残り少ない歯を大事にしようと思い、泣きながら食べるのを諦めました。


翌日、また拾ってきました。
今度はさらっと炒ってみました。実は柔らかく味は淡泊でしたが、やめられない味でもありました。
家の中はしばらく椎の実の殻を破る音だけが響きわたっていました。
食べ終わった後、「どんぐり」について調べてみました。
「どんぐりとは、ブナ科の木の実のかたい皮をもつ種子の事をいい、日本にはどんぐりのなる木は20種類ぐらいあります」。
勉強不足だったなぁ。


♪椎の実ころころどんぐりこ
    お口に入れてさぁ大変
 しばらくもぐもぐ噛んでたが
    やっぱり硬くて食べられず
泣いては家内を困らせた♪