むかし、むかし、ある町に心の優しい浦島二郎という若者がいました。
(浦島太郎は二郎さんのお兄さんですが、太郎さんのお話はあまりにも有名なので
今日は省略します)。


二郎さんが公園にある大きな池の近くに行きますと、一匹のネコが大きなカエル
つかまえていました。
近くによって見ますと、このカエルはウシガエルというカエルで、ネコはウシガエル
いじめていました。


(ネコがウシガエルをいじめている証拠写真)



二郎さんはこのウシガエルは姿、体の色、鳴き声から一番嫌いなカエルでした。
「おやおや、可愛そうだよ。放しておやりよ」と心にもないことをネコに言いました。
「いやだよ。僕の遊び相手をやっと捕まえたんだもの」。
見るとウシガエルは涙をハラハラながしながら、二郎さんを見つめています。
二郎さんはカエルの中で一番嫌いなカエルでしたが、カエルの涙をみた途端
可愛そうになり、懐から少ない年金の中から買った「キャットフード」を取り出し
「それでは、このキャットフードをあげるから、このカエルを逃がしておやりよ」と
ネコに言いました。
「うん、それなら良いよ」。


(二郎さんとネコがキャットフードで合意し、ウシガエルを開放した直後の写真)


二郎さんはカエルを池へ逃がしてやりました。


(心優しい二郎さんは、直接ウシガエルを捕まえるのが気持ち悪く、棒っ切れで、
おっかなびっくりでウシガエルを池の方へ押しやりました)


(ネコはまだ未練がましく、去っていくウシガエルを見ていました)


それから二三日たったある日、いつもの公園を歩いていますと
「二郎さん。二郎さん」と誰かが呼ぶ声がします。
「おや、だれが僕を呼んでいるのだろう」。
「私ですよ」。
すると水面にカエルが顔を出して言いました。
「先日はありがとうございました。あのネコに食べられるところを
助けていただき本当に感謝しています。ところで今日は先日のお礼に
竜宮城にご招待いたします」。
「竜宮城ってどこにあるんだい」。
「竜宮城本社は海の底ですが、ここは池ですので竜宮城の支店がこの池の底に
あります。この支店の運営は竜宮城の下請けがやっています」。


このあとのお話は、お兄さんの浦島太郎とほぼ同じですので省略しますが
違っているところお話しますと、美しい乙姫様の接待はなく、タイやヒラメ、
クラゲなどの踊りもなくて、コイやフナ、ドジョウ、メダカの踊りでした。
二郎さんもお土産に玉手箱をもらいましたが、美しい女性の支店長さんから
「開けてはいけませんよ」と言われたのですが、紙芝居の時代からテレビの時代に
なっていたのに驚き、むかしに戻りたいと思って玉手箱を開けてしまいました。
二郎さんは「後期高齢者」になってしまいました。
めでたし、めでたし。
終り