『私はネコです。ライオンではありません。
先日、公園を毎日のように歩いている白髪のオジサンが私に近寄ってきて写真を撮っても
いいかと言うので、「いいですよ」と言ったらカメラを私の鼻近くに持って来て、
顔全体を写していきました。このオジサン、何をしようとしているのか分かりません。


オジサンは会うたびごとに私に話かけてくれます。「元気か。食事をしたか」なんて声をかけてく
れますが、いまだエサを持ってきたことがありません。
オジサンは私を「シロ」と呼びます。
オジサンに限らず、人間はネコの毛色を見て適当に名前を付けます。茶色だったら「赤」。
白色だったら「シロ」。私の毛色は「グレー」なので「グレー」って呼ぶのかなぁと
と思ったら「グレー」はネコの名前としてふさわしくないと言って「シロ」という名前にな
ったようです。人それぞれが私をみた第一印象で名前をつけますので、二つも三つも名前が
あります。


余談ですが、友人のネコからこんなことを聞きました。
友人の名前は「アンタ」。変な名前でしょう。「アンタ」というのは人間界での「あなた」
のくだけた言い方でとても親しい人の使う言葉ですよね。
飼い主が「アンタ」と大きな声で友人を呼ぶと、近くにいる人間全員が自分が呼ばれたと
思って振り向くんですよ。
友人が呼ばれているのか人間が呼ばれているのか分からないとこぼしていました。
名前は適当につけるんじゃなくて、由緒ある名前を付けて欲しいものです。


このオジサンが撮った写真を見せてあげますね。
7年前からの写真です。写真をみながら私の成長記録をお話します』


今から7年前の平成20年7月に撮った写真です。この公園に来てすぐ出産しました。
二匹とも元気に育ちました。子供たちは可愛いでしょう。家族全員で写真を撮ろうとしたの
ですが父親は出産後いなくなりました。


子供たちの名前は「チビ」と「クロ」。命名はオジサンです。別々に写真を撮りました。
どっちが「チビ」でどっちが「クロ」なのか私でも見分けができませんでした。でも、匂い
で分かります。



22年6月撮影。
子供も二歳になりました。既に一匹の子は私から離れて行き、写真に写っ
ている子も黙って私から離れて行きました。


24年4月撮影。
一人暮らしをして1年余。寂しいけれど一人暮らしにも慣れてきました。


25年8月撮影。
ますます元気で夏の暑さに堪えています。


26年9月撮影。
急に老けてしまったみたい。


27年6月撮影。
動くことが億劫になってきて、寝ている時間が多くなってきました。


孫が作ってくれた我が家の家系図です。「おばあちゃん猫」が私です。子供たちや孫たち
が元気に過ごしていることを願っています。私もこれからも元気に過ごして行きたいと思
っています。


○「オジサンからの一言」
この猫を知ったのは7年前の平成20年。その時はまだ若くノラネコにしては珍しい品格の
ある猫だなぁと思いました。
この「シロ」に毎回声をかけます。
ほとんどの猫はいつしかいなくなってしまいますが、このシロは同じ場所に7年間も
住み着いていることは驚きです。
冬の寒さに耐え、夏の暑さにも耐え、風にも雨にも負けずシロは生きています。
公園には決まりがあり、猫が住むには難しいところですが、そっとしてあげたいと
思っています。