ウルシャイ・うるさい・八月蝉い

今日の天気 曇り時々雨


早いもので今年も半分が過ぎてしまいました。7月。暑い、暑い夏がやってきました。「冬の木枯らしに夏を慕い、夏の炎暑に冬を懐かしむ」。6カ月先はお正月です。


暑くなったので窓を開けています。涼しい風が入ってきます。隣近所から風鈴の音色がかすかに聞こえてきます。隣近所も窓を開けているようです。


赤ちゃんの泣き声が聞こえてきました。赤ちゃんは泣き続けています。しばらくすると「ウルシャイ」と小さな女の子の声が聞こえてきました。暑さで赤ちゃんは泣き出し、そばにいた小さな女の子は赤ちゃんの泣き声に怒りだしたようです。


「ウルシャイ」(幼児言葉?) という言葉を聞いたとき、幼児がどのようにして言葉を覚えていくのか不思議に思いました。僕も幼児のころがありましたが、言葉を覚えていく過程はすっかり忘れています。


「うるさい」。パソコンで漢字に変換しますと「煩い」・「五月蠅い」とでてきます。この中の二番目の「五月蠅い」が「蠅」となっていますが、近頃では「蠅」を「蝉(セミ)」にかえて「五月蝉い」と書く人もいるようです。「蠅」は今から半世紀前にはアチコチに飛んでいて、食事の時は、蠅を追い払いながら食べたものです。今は「蠅」を見ることは珍しくなって、蝉の鳴き声のほうが「うるさい」と感じるようになってから「蝉」を書くようになったようです。さらに8月の蝉はもっと「うるさい」ということから「八月蝉い」と書く人もいるとか。


セミ」と言えばすぐ思い出すのが「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」。
高校生の頃、国語の先生に「セミがガンガン鳴いているのになんで「静ずか」なのですか。セミの声がうるさくて昼寝もできません」(先生には言っていませんが、僕だったら「うるさいな 耳にしみ入る 蝉の声」と作ります)と質問したら「お前は馬鹿か。この俳句がなぜ有名になったかを考えてみろ」と言われ、それから国語の勉強がいやになり、本をあまり読まなくなりました。先生の一言はその人の人生に大きく影響します。あの時、間違っていたかも知れませんが、先生が「君は良いところに気がついた。確かに蝉の鳴き声はうるさい」とお世辞にも褒めてくれていたら今は松尾芭蕉に負けないくらい有名な「俳人」になっていたかも知れません。


「八月蝉い」と書く人の気持ちが分かります。


赤ちゃんの泣き声は聞こえなくなっています。赤ちゃんも「ウルシャイ」という言葉を理解し、静かになったのでしょうか。


また、風鈴の音色が響いてきました。暑い、暑い夏がまたやってきました。そして国語の先生の顔を思い出す夏がやってきました。