「わかっちゃいるんだけど」

今日の天気 晴れ

関東地方は今日から春のような気候だとか。待ちに待った春がすぐそこまで来ているようです。

先日、こんなことがありました。
家内がスーパーに買い物に出かけるということなので、「おにぎり」大好き人間の僕はおにぎりを買ってきて欲しいとお願い(?)しました。スーパーやコンビニで売っているおにぎりは味付け海苔をセロファンで区切っています。家内が買ってきたおにぎりも同じでした。お腹が空いていたのでさっそく食べようとおにぎりにまかれていたセロファンを取り、そしてセロファンを広げ、中から味付け海苔を取り出しました。うまく出せると思ったのですが海苔がセロファンにくっついてしまい、海苔が破けてしまいました。さらにおにぎりは指先にベトベトくっつき、破れた海苔も指に絡んでイライラしてしまいました。

この状況を見ていた家内は、もう一つのおにぎりを持ち「お父さん、ここを引っ張ればすんなり海苔がおにぎりにまかれるのよ」と言って、セロファンのある部分を引っ張りました。そうしましたら一瞬のうちに海苔はおにぎりにまかれていました。まるで手品を見ているようでした。「こんなことも知らないの?」と家内から言われるかと思いましたが、意に反して「海苔の巻き方を教えなかった私が悪かったわ」という言葉が返ってきました。家内から「お父さんはいつも箸を持って待っている人ですから」と言われていますので、皮肉を言っているのだとすぐわかり、僕の心は微妙に揺らぎました。

こんなことがあってそろそろ忘れかけてくる頃、新聞投稿欄に「定年控え、妻に感謝」という投稿が載っていました。

『子供二人独立して、妻と二人暮らし。それなりに順調にやってこられたのは妻のおかげ。掃除、洗濯、近所の付き合いは妻に任せきり。家では包丁を握ったこともない。今年度に定年を迎える。もし妻が先に逝ってしまったらと不安を覚える。これから妻と過ごす時間がたっぷりあるので、これまでの感謝を伝え、会社で学べなかったことを学びたい』という内容です。

新聞投稿欄を読み終えた家内は「お父さんが定年退職してから何年になりますかね〜。偉いなぁ、この人。奥様は幸せ。お父さんもこの記事を熟読してよく反省してください」と今度はビシッと言われ、僕の心は大きく傷つきました。

「わかっちゃいるんだけど」。


[公園は春の気配・早くも咲き始めた「キジムシロ」]