「おーい、雲くん。今日も実にゆったりと浮かんでいるね。風もなく暖かな日差しにもうすぐ春を感じるけど、上空はどうですか。
先日は鴨川市の病院上空に浮かんでいるところで会ったけど、その後すっかりご無沙汰をしてしまいました。お元気ですか。
きょうは我が家の近くで会うことができましたね。
実はね、もう病院にはあまり行かなくても良いことになりました。
「経過観察」と言ってね、体調確認のための通院だけになりました。
これからは再発の有無を確認するため定期的に通院し、胸部X線、CT検査などにより再発や他への臓器への転移がないかどうかを調べるんだって。
抗がん剤治療がなくなっただけでもホッとしています。
去年の11月に16回目の抗がん剤治療を受け、今まで様子を見ていました。抗がん剤は「アリムタ」という薬です。
これが僕の体には副作用が比較的少ない抗がん剤です。
雲くんは病院上空からみていたから知っていると思いますが、副作用が少ないといっても、抗がん剤治療をうけた翌日から吐き気が始まり、1週間から10日間程それは続きます。
その間、いままで長い間生きてきたけど一度も実物にお目にかかったことがない世界三代珍味であるフォアグラ、キャビア、トリュフ、想像しただけでも吐き気。そして東京のミシュラン三ツ星レストランのフランス料理をこれまた想像しただけでもゲーゲー。デレビのグルメ番組、料理番組をみては吐き気。いつも食べている「納豆」なんて匂いが漂ってきただけでも気持ちが悪くなってきます。
抗がん剤点滴の翌日にシャックリがでるのはいつものことです。


16回目の抗がん剤治療をうけたあとMRI、CT、PET-CTの検査を受けました。
MRI、CT検査はいずれも造影剤を注射して行いました。
この造影剤。CT検査の場合、造影剤を注入後数秒で体全体が熱くなり、20秒もあれば、体全体に造影剤が行き渡るとのことで血流の速さには驚きです。
それぞれの数値は横ばいで悪化はしていませんでした。それでこの辺で抗がん剤治療を中止し経過を観察しようとなったのです。
咽の痛み、声の掠れは相変わらず続いています。




















ネェ、雲くん。今月の11日に発生した東日本巨大地震。知ってるよね。
もう、被災地に行って来ましたか。上空からみた様子はどうでしたか。
津波が襲って来たとき、上空からテレビ放映をしていましたけど、本当に恐ろしいものでした。
今日で地震発生から18日経ちますけど、連日、テレビ、新聞で被害状況が報道されています。みんな、みんな頑張っています。
行方不明者が増えているんだそうで、雲くんにも一つ協力してもらえないかなぁ。
上空から行方不明者を探してもらいたいんだ。それと今の季節、被災地は雪雲とか雨雲が
沢山浮かんでいるけど、それらを追い払ってそのあとに雲くんがポッカリ浮かんでほしいんだ。雲くんを見ただけで心が癒されると思うけど。
もうすぐ、桜の季節です。日本全国、跳び回って桜の情報を被災者の方々に教えてやってください。そして皆さんの心にも早く春が来るように元気づけてやってください」。