「雲」
国語の時間
青空に雲が浮いていた
ハンバーグが流れてきて
そのとなりにオムレツも来た
ずっと見ていたら
お腹がグーッといった


(茨城県東海村・照沼小5年 箭内 瑠奈さん)
[読売新聞 平成22年9月10日朝刊・こどもの詩より]




「おーい、雲くん。今日もまたのんびりと青空に浮いているんじゃないの。すっかりご無沙汰していましたけどお変わりありませんか。
今年の夏は毎日のように暑い、暑い太陽の光がふりそそぎ、地上では猛暑日が何日も続きました。雲一つない晴天が毎日、続きました。
晴天の時は、雲くんのことを思い出していました。雲くんはどこに行ったんだろうって。
雲くんがいれば、太陽の光を遮ってくれるのに」





















去年の夏は思いがけずの入院生活で、冷房の効いた病室でひと夏を過ごしました。
あれから一年。まだ、通院が続いています。毎月一回、抗がん剤治療を受けています。
抗がん剤を投与した翌日から吐き気が出てくるのは相変わらずで、咽の痛み、声のかすれもまだ続いています。
先日、咽喉科で咽の痛みが1年以上も続いている原因を調べてもらったのですが、わかりませんでした。「放射線治療が原因かも」。ただそれだけです。
「声のかすれは治らないかも知れません」。この原因もわかりませんでした。
皆さんから「声が出るようになりましたね」と近頃言われるようになりました。これだけでもありがたいことです。でも、発声の時は咽に力を入れないとかすれてしまうのです。
ガン腫瘍が声帯の神経を圧迫しているようで、ガン腫瘍がなくなれば声は元通りに出るようになるのではないかと医師は言うのですが、これは定かではありません。
声が出てきたということは、ガン腫瘍が小さくなって声帯の神経を圧迫する箇所が狭くなってきたのではないかと思うようになりました。



日本人のかかるガンで最も多いのが胃ガン。そして死亡数が一番多いのが肺ガン。
独立行政法人「がん対策情報センター」の最新統計によりますと2008年にガンで死亡した日本人34万3千人(一日平均939人)のうち、男女とも肺ガンの死亡者数が最も多く、その合計は6万7千人(一日平均183人)にのぼり、40歳から死亡率が高くなり、高齢になればなるほど増加する傾向にあるということです。
ガンの中で最も治療成績が悪く助かりにくいのが肺ガンだということがわかります。
さらに続きます。
一般にガンは5年生存率が治療効果の目安とされ、ガンと診断されてから5年後に生きていれば完治に近い状態だと言います。
胃ガンはその患者のうち6割は5年後も生きていますが、肺ガン患者はたったの2割。
つまり5年以内に8割の患者がなくなっているということになります。
今年4月、作家の井上ひさしさん(享年75)。8月には芸能リポーターの梨元 勝さん(享年65)が肺ガンで亡くなっています。
肺ガンによる死を防ぐためには早期発見、早期治療しかありません。そのためには年に一回は胸部のCTなどの画像検査をうけることです。


治療を受けている僕にとっては大変ショッキングなガン情報です。
あと4年かぁ。ため息が出ます。
それに日本人の二人に一人はガンに罹るとも言われています。そして三人に一人は亡くなっています。(一日平均939人・2008年統計)
現在、我が家は家内と二人の生活です。上の計算式から言いますと僕がすでにガンにかかっていますので家内はガンにかからないという計算が成り立ちます。神様、信じてよろしいのでしょうか。




「雲くん。今週、待ちに待った秋がきます。やっと涼しくなりそうです。
暑い、暑い夏と来年の再会を約束しておきました。これからはすっきりした青空が続きそうです。また、しばらく雲くんと会うことは出来ませんね。
雲くんは、お腹の空いている子どもがいれば、ハンバーグやオムレツになったり、泣いている子どもがいれば元気になるように青空を見せてやったり、プールの水が足りなくなったら雨を降らせたり、運動会や遠足の時は雲くんたちはどこかに行って雲一つない晴天にしてやったりして子どもたちの人気ものですね」。


















 「今週PET検査(陽電子放射線断層撮影法)の結果が分かります。
ガン腫瘍が小さくなっていることを願っていますが、今度、雲くんに会った時にお話をしますね。雲くんも楽しみに待っていてください。
今日も僕のお話を聞いてくれてありがとう」。