PET-CTとは
(PET検査なら全身の小さな「がん」まで見つけます)
がんは一つの細胞から増殖を繰り返し加速度的に大きくなります。しかし、lcmの大きさになるまでに約10〜20年かかるので、小さいうちに発見すれば早期治療により完治可能で患者さまの身体的・経済的負担も軽減します。しかし従来のレントゲン検査では1.5cm程度、MRやCTでもlcm程度に進行するまでがんを早期発見することができませんでした。
がん細胞は通常細胞に比べ、約3〜8倍のブドウ糖を消費する性質があります。そこでブドウ糖に似た検査薬(FDG)を体内に注入し、その集まり具合を画像化すれば体の深部の比較的小さながんを検出できます。これをPET検査(Positron Emission Tomography:陽電子放射線断層撮影法)といいます。
PET-CT装置は,このPET画像にマルチスライスCTスキャナによる画像を融合して,がんの代謝や性質に加え形状や場所を画像として確認し、さらに悪性度を診断することができます。通常検査の約10〜20倍の検出感度があるので、これまで見つけにくかった全身(頭部から大腿部まで)の小さな病変を早期発見できるわけです。[亀田クリニック PET-CTセンター案内書より]


僕は、PET-CT検査を受けるため安静室で1時間程安静の状態で待機していました。
直前にブドウ糖に似た検査薬(FDG)を体内に注入しました。暖かいお茶を頂戴しそれを飲みながら検査の時刻がくるまで待っているのです。
室内にはピアノの演奏が流れています。静かな音楽です。安静にふさわしいメロディーです。
リクライニングシートに座って目を閉じていますと今までの出来事が走馬燈のように、次から次へと浮かんで来ます。


今年の初め「がん」は他人ごとのように思っていました。そして「自分は大丈夫」という思いがありました。

2月に胸の痛み、声のかすれの症状がでて来ましたので、今までの病院を変えて別な病院で診てもらいました。この病院で肺に腫瘍があることがわかり、この病院から紹介状をもらって、大きな総合病院でPET-CTなどの検査を受け、「肺がん」とわかったのです。肺がんの宣告を受けたとき、頭の中は真っ白になりました。これで僕の人生は終わったと思いました。
腫瘍は手術をするには難しい場所にあり、化学療法と放射線療法の併用の治療を受けました。PET-CT検査はこれまで2回受けました。今回は3回目の検査です。2回目までの検査では腫瘍は小さくなっているのがわかりました。


曲が変わりました。今度も静かなメロディーです。
またピアノの演奏です。室内は薄暗く物音一つしません。時々、検査を受ける人の足音と案内をする人の足音が響き小さな話し声も聞こえて来ます。


「がん」とはどういう病気なんでしょうか。
この答えは12月27日付け読売新聞朝刊から得ました。
「我々の体を作っている細胞の一つがあるときがん細胞と言われる危険な細胞に変化します。がん細胞は制限なく増える性質があり、どんどん増えて回りの臓器を駄目にしてしまいます。また、転移と言って体中のあちこちに飛んで他の臓器を駄目にしてしまいます」
すごく怖い病気ですね。


ところがこれも12月25日付け読売新聞朝刊ですが
「がんは、怖くない」と大きな見出しで「広告」が掲載されていました。
がん検診がキーワード。早期発見・早期治療で大切な自分や大切な人のいのちをがんから守る。と出ています。
概略ですが
1.日本人の2人に1人はがんになり、3人に1人はがんで亡くなる。
(年間総数34万人・1日に約1000人が亡くなっている)
特に胃がん、肺がん、大腸がんが多い。(向井さん)
2.多くの人が亡くなっているにもかかわらず
  「自分は大丈夫」・「私に限って」と考える人があまりにも多すぎ、逆にがん検診を受ける人が圧倒的に少ないのが現状。(森山先生)
3.女性は婦人科の検診に対して「恥ずかしい」という感覚があり、がんの発見が遅れている。(向井さん)
4.検診の精度、治療技術も格段に進歩しているが、受診しなくては意味がない。早期発見が出来れば、いのちが助かるだけではなく、体への負担も少なくて済み、治療も早ければ早いほど有利。(森山先生)
5.検診を受けて何も見つからなかったら「おめでとう」。
  何か見つかっても「おめでとう」。検診に行くこと自体がめでたい。その上それを発見できたことで対処法や有効な時間の使い方を考えることが出来る。(向井さん・森山先生)
6.「あの時、検診を受けていれば・・・」。一歩踏み出さなかった自分を後悔するのが一番悲しいし、もったいない。そんなことがないように。(向井さん)
そして最後に「流さなくてもいい涙が、どうか減りますように」という言葉で
終わっています。(向井さん)
[ 国立がんセンター がん予防・検診研究センター長 森山 紀之先生
 タレント 向井 亜紀さん 対談]


僕は待機している間、いろいろなことを思い出していました。
安静室には僕の他に数人の人が待機しています。

みんな同じ音楽を聴いています。でもみんなの思いはそれぞれ違っています。
「今年は自分にとって言葉では言い尽くせない素晴らしい年になりました。が
んが見つかり、早く治療したことにより命が助かった年です。
家族に感謝、医師に感謝、僕を励ましてくれた人々に感謝、看護士に感謝、そして病院関係者に感謝、友人に感謝、行き交う人々に感謝、その他地球上に存在する人々と物に感謝申し上げます。ありがとうございました」。
と僕はつぶやいていました。
そして、一人でも多くの人が早くがん検診を受けることを願い「流さなくてもいい涙が、どうか減りますよう」と祈りました。
「僕が無駄に過ごした今日という日は、昨日、亡くなった人が痛切に生きたいと願った一日だ」。この言葉が胸に響きます。
毎日、毎日を大事にして過ごして行こうと心に誓いました。


「大変お待たせしました。準備が整いましたのでPET-CT室にご案内いたします」と医師が僕を迎えに来ました。
僕は医師の指示に従ってPET-CT室に入って行きました。
3回目のPET-CT検査の結果は1月初旬に出ます。僕はこれで検査が終わることを願っていました。



[肺がん闘病記]
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