入社同期の友人が亡くなったと電子メールで知らせがあったのは二日前でした。
葬儀を手伝ってほしいともメールに書かれてありました。
退職してから音信が途絶え、友人の様子は全く分からない状態でした。
テニスが好きでした。いつも明るく振る舞い誰にも好かれました。家族を大事にしました。
そんな友人の悲しい知らせでした。
「なんで家族を残してそんなに早く逝っちゃうの。なんで君が今まで得た経験と知識を出しきらないまま逝っちゃうの。なんでもう少し余生を楽しまないの」
空しい言葉でした。


読経が始まりました。会葬者の焼香が始まりました。
会葬者は焼香が終わると元の席に戻らずそのまま帰って行きました。
あまりにも呆気ないお通夜でした。
「東京のお葬式ってこんなもんなの。なんでもう少し亡くなった人を偲び、冥福を祈ってやらないの。あまりにも簡単すぎるけどこれでいいのかい」。
空しいことでした。僕は合掌して、友人の冥福を祈りました。


「さよなら。また、この世に生れたらまた君に会いたいね。君は僕の人生をちょっぴり明るくしてくれたからさ。僕がこの世に生を受けてから数えきれないほどの人が僕の前を通り過ぎて行ったけど、その中でちょっと立ち止まって僕に声をかけてくれた一人が君なんだ。
楽しかったね。会社では君の方が偉かったから本音で話しをすることがなかったけど、退職後は何の遠慮もなく話をすることができました。大きな声で笑うこともできました。
二人ともお酒は飲めなかったので、今度生まれてきたときはお酒が飲めるようになるといいね。僕も練習しておくからさ。そうしたら二人でお酒を飲んでもっともっと大きな声で笑いたいね。どうもありがとう」。


同期のやつは皆いい人ばかりだよ。君の悲しい知らせを聞いて多くの人が駆けつけました。
お通夜の会葬者は全員帰っちゃったけど同期の皆は君から去りがたく、お酒を飲みながら君の思い出話を深夜まで話続けました。お酒を飲めない君の前で。許してくれるよね。
君はいつもにこにこと酒飲みの話を聞いてくれたよね。そして時々話が途切れないように気を使っていました。今も祭壇から酒飲みの話をにこにこと笑いながらい聞いているかも知れないね。僕もコップの半分くらいビールをごちそうになりました。
どうもありがとう、ありがとうございました。どうか安らかに眠ってください。


こうしてじっとしていると君のことばかり思い出し悲しくなってくるから、公園に行って体を動かしてくるからね。