「ビセイ」の治療

今日の天気 晴れ


ゴールデンウイークに相応しい爽やかな天気が続いています。
勤めていた時は、ゴールデンウイークが来るのが楽しみで、楽しみで、興奮して夜も寝付かれず、日中昼寝をして過ごしてしまったことがあります。
今は毎日が日曜日で、特にゴールデンウイークだからと言って特別なことをすることもなく、家でひっそりと過ごす予定です。


1ヵ月ほど前から声がかすれて、いつもの「美声・鼻声・ビセイ」が出なくなっています。
喉が痛いというわけでもなく、しばらく経てば治るだろうと思いホッタラカシにしていたのですが、ますます嗄れてきて話をしても何を言っているのか相手が聞き取れない状態になってきました。
高齢化してきますと、体のあちこちが痛くなったり、痒くなったりしますと「もしかしたら癌じゃないだろうか」と思うようになってきました。
そんなことで1ヵ月以上もいつもの「ビセイ」に戻らないのは「もしかしたら咽喉癌じゃ
ないかしら」と疑うようになり、このままホッタラカシにしては取り返しがつかないことになっては大変だと病院に行ってきました。


その日の午前中は歯の治療を受ける予定になっており、まず歯の治療を受けました。
「ハイ、大きく口を開けてください」と言って治療が始まりました。機械の「キューン」という音に足の先から手の先まで緊張して命の縮まる思いでした。
その足で耳鼻科に行きました。
「鼻から管を入れますね」と医師は言いました。「あ、それからお口は閉じておいてください」。僕は知らぬ間に大きく口を開けていました。歯科の治療を受けていますので、白衣の医師を見ると自然に口を大きく開けてしまう癖がついたようです。


治療が終わりました。
「先生、治るでしょうか」
「声帯は問題がありません。ですが・・・」しばらく間が空きました。
やはり、僕が診立てた「癌」と宣告されるんじゃないかと思いました。
「治りますが、歳をとってくると元の状態に戻るまで時間がかかります。今後はしばらく声を出さないようにしてください。無言です。お話をしたい場合は筆談でやるようにしてください」。
「あの〜、先生。家では家内との話のやり取りがなくなり助かりますが、電話がかかってきた場合、こちらが無言だと気持ち悪いと思われませんか。無言電話の逆になりますがその場合、どう対応すればよろしいでしょうか」
「すぐ電話を切り、折り返しFAXで筆談のやり取りしてください。こちらから流す最初のFAXには「声を出すことは医師から止められています」と書けば、誤解がなくなるでしょう」と医師は真面目に答えてくれました。
「癌」の心配はなくなりましたが、これからいつまで無言でいられるか心配になってきました。


加齢してきますと、今まで思ってもみたことがないことが出てきます。
先生、あまり歳のせいにしないでください。「歳をとってくると誰でもなります」。なんて言われますと安心して良いのかどうかわかりません。早く治る方法を考えてください。