昔昔あるところに、おじいさんとおばあさんがすんでいました。
ある日、おばあさんが川に洗濯に行くと川上から大きな桃がどんぶらこっこどんぶらこっこ流れてきました。
おばあさんは、その桃を家に持って帰って割ってみました。
すると中から、元気な男の子が生まれてきました。
おじいさんとおばあさんが言いました。「モモから生まれたから桃太郎と名前にしよう」。
二人は大事に桃太郎を育てました。桃太郎は大きくなって、犬とキジと猿にきび団子を与えて家来にして鬼が島の鬼を退治して、宝ものをどっさり持ちかえってめでたしめでたしで終わりです。


昔昔、僕がまだ小さいころ、この桃太郎の昔話を母親から聞いた時は胸がわくわくしたものです。
あれから50年以上もたち、僕の純粋な気持ちはとっくに消え去ってひねくれ者になってしまいました。どこでどう間違った人生を過ごしてきたのかと毎日涙にくれています。
孫にこの桃太郎の話をしてやりました。そうしましたら二度と「おじいちゃん、お話をして」と言わなくなりました。
ひねくれた僕が孫に桃太郎のお話をしたのは次の通りです。


「昔昔、あっちこっちにおばあさんが住んでいました。
(孫には言いませんでしたが、今から50年後には65歳以上の高齢者が日本の人口の4割を占めることになり、いままでの傾向から男が先に死んでしまうことを盛り込んで話をしたのです)
ある日、おばあさんが川に洗濯に行くと川上から大きな桃がどんぶらこっこどんぶらこっこ流れてきました。
(本当は洗濯機で洗濯したと言いたかったのですが、後の話が続きませんのであえてこのまま引用しました)
おばあさんは、その桃を家に持ち帰りました。そしてその桃を割る前にその桃の下側に書いてある消費期限を確認しました。
その消費期限は二日ほど先でした。おばあさんは安心してその桃を割ってみました。
すると中から元気な男の子が生まれてくると思いきや「中は腐っていました」。
おばあさんは「消費期限の改ざん」だと怒りました。
これでおしまい。
(今、問題になっている消費期限のことを孫にも知ってもらいたいと思いましてここで取り入れました。孫は?)