「方言」

[18時35分発のキハ12は、日に三本しか走らぬ幌舞行の最終だ。
「ふん、いいふりこきやがってなんも写真まで撮ることないしょ。ねえ、駅長(おやじ)さん」
若い機関士は雪原を別れて行く特急をちらりと振り返ってから、助手台にたつ仙次を見上げた。
「なあにはんかくさいこと言ってんだ。キハ12っていったらおまえ、今どき文化財みたいなものだべ。中にゃわざわざこいつを見るために内地から来んさるお客もいるべや
したらさなして廃線すんの」]


これは浅田次郎さんの「鉄道員(ぽっぽや)」の一部です。内容はいつも駅に立ち続ける駅長の最後の日を書いた短編です。不器用な男の生き方に感動します。
そして、さらに懐かしく感じました。それは全編、北海道弁?(赤字部分)で書かれているからです。
作者は道産子?。いやいや東京都の生まれのはずです。全編北海道の方言で書かれているのには驚きです。小説を書く人はここまで勉強するんですね。


北海道から東京にでて来て半世紀になろうとしている僕は、今は共通語を喋っています。
でも、帰省して友人と話をするときは知らない間に北海道弁で話をしています。
これって不思議ですね。
時々、この本を読み、両親がいた時の田舎を思い出しています。