ガチョウと対話

開き始めた「やえあげは」

今日の天気 曇り。

午後から冷たい風に変わりました。春から冬に逆戻りの気候です。待ちに待った春が来たということでやっと花を咲かせたタンポポも震えていることでしょう。午前中は比較的暖かでした。今日は少し遅い時間に歩きましたので、公園を歩いている人は少なく静かな公園でした。


「ガチョウ友の会」*1の一羽がずっと同じ場所にしゃがんでいましたので、たまにはコミュニケーションを図ろうとガチョウのところに近づきました。案の定、「フーッ」と言って僕を威嚇するのです。僕は「こんにちは」と声をかけました。するとガチョウは僕の声を聞いて思い出してくれたのでしょうか。「こいつは忘れた頃、パンの耳を持ってくるやつだな。腹が減っている時に持って来ないで、公園のおじさんから餌を貰って食べている時に限ってパンを投げつけて寄越す変なやつだ」と。


僕は、いつも餌を与えている「愛鳥精神に富んだ良い人間の一人」という自負心もあり、ガチョウに馴れ馴れしく話かけました。もちろん、ガチョウが僕に対して「変なヤツ」と思っていることは知りません。「ここにジッとしているけど、卵を産んだのかい」と僕は言いました。卵を産んで抱いている時期にしてはチョット早いなぁと感じていたのですが。


ガチョウは「フッ」と声を出し、怒りだしました。「ガー、ガー」と公園一帯に聞こえる声です。ガチョウの鳴き声はお世辞にも良い声とは言えません。そのガチョウの言葉を人間の言葉に通訳すると「黙って聞いてりゃいい気になって。一回ぽっきりしかパンをくれた事がないのにその馴れ馴れしい態度はナンダ。気にしている卵のことを言い出して」。まだまだガチョウは言ったのですが、紙面の関係上、すべて書くわけにはいきませんのでその後を要約すると[このガチョウ、最近結婚したばかりで「ガチョウ友の会」のメンバーから赤ちゃんはまだか、まだかとせっつかれるので精神的に参っている。そんな状態で「変なヤツ」から「卵」という声を聞いたので一気に怒りが爆発したとのこと]


その話を聞いて僕はガチョウに軽率であったことをわびました。「人間の世界と同じだね。今後、十分注意します。それにしても結婚したことを教えて欲しかったね。でも、ガチョウの母親は、赤ちゃんのことを本当に大事にするね。卵から雛が生まれるまでそれこそ必死になって守っているよね。同じ鳥でも鶏は卵製造器だ。産みっぱなしだし、人間が卵を取り出す時、卵にすがって鳴いているのを見たことがないよ」と鶏の状況を話し、ガチョウの母親のことを褒めました。


ガチョウと別れ、又、僕は歩き始めました。歩きながら僕はずっと考え続けました。さっきのガチョウ「雌」だろうか、それとも「雄」。

*1:ガチョウ11羽(ときたま12羽)の集団