先日、テレビで「フラガール」という映画を観ました。
この映画は、炭鉱の閉山が相次ぐ昭和40年代、福島県のある炭鉱町も閉山することになり、リゾート施設実現のためハワイのフラダンスを習得して、炭鉱町を盛り上げていく女性たちの奮闘ぶりを描いた映画です。
僕も小さい頃、炭鉱の町に住んでいたことがありますので、大きな感銘を受けました。


この映画には「ずり山」がありました。「炭住」がありました。「トロッコ」がありました。
「炭鉱夫の真っ黒な顔」がありました。「大浴場」がありました。「落盤事故」がありました。「別れ」がありました。でも、みんな元気でした。


一人の腕白坊主がいました。小学五年生で、勉強は出来ないのですが、学校が大好きな少年です。休憩時間には長い棒を如意棒に見立てて振り回し「孫悟空」の真似をして遊んでいました。
学校が終わると友達と暗くなるまで遊んでいます。木登りをして一番上から落っこちて大けがをしたこともありました。


少年には秘密の場所がありました。「ずり山」の近くに「山ブドウ」がたくさんなるところです。ずり山というのは石炭を採掘したときに坑内からでる岩石を捨てる場所で、毎日、大きなトロッコで捨てていました。そのため町一番の高い山になっています。岩石の中には石炭も混じっていて、ずり山のあちこちが自然発火しています。ずり山の下は岩石が転がってくる危険な場所で誰も近寄りません。そんな場所に「山ブドウ」がたくさんなっているのです。秋が楽しみでした。


少年の住んでいるところは五軒長屋です。山の上までこの長屋が建っていました。
町は賑わっていました。遊びから帰ってくるとお風呂に行きます。大きな、大きなお風呂です。真っ黒な顔をしたおじさん方と一緒にお風呂に入ります。一番方で仕事を終えたおじさんたちです。風呂から帰るとき真っ暗な道を通ります。真っ黒な顔をしたおじさんが突然現れびっくりしたこともありました。


少年の父親が落盤事故で大怪我をしました。父親は二度と石炭を掘ることのできない体になりました。この少年の家族が炭鉱の町を去ったのは少年が六年生のときです。
数十年も前の出来事です。


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